杮経 / Kokera kyo

Bibliographic Details

Title
Kokera kyo / 杮経
Author
Anonymous / アノニマス
Year
Kamakura Period / 鎌倉時代
Size
h297 × w16mm
Pages
Japanese / 日本語

経文
たった一本の木片
鎌倉時代

杮経(こけらきょう)は、杉やヒノキなどを薄く剥いで、幅2センチ、長さ30センチくらいに切り揃えた薄板の表裏に経文などを墨書きしたものです。古くは平安時代末期から作られていて、本作品は鎌倉時代のものと書付られています。

この杮経は、もとは経典一巻をまるごと書き写した数千枚からなる木片をぐるぐる渦巻形に束ねたものでした。経文は法華経(妙法蓮華経)の一部で、膨大な木片があったことが想像されます。妙法蓮華経は仏教における重要な経典のひとつで、天台宗や日蓮宗では根本経典として特に重要視されています。



たった一本だけの木片ではありますが、壊れやすいため台紙で固定し、硬木で表裏を覆い保管されていました。このことからも、鎌倉時代の遺品としてとて 旧蔵者が愛蔵していたことがうかがえる貴重な逸品です。



Text by 櫨木 脩(潮音堂)