a paper / Tomohiro Okazaki
Bibliographic Details
- Title
- a paper
- Author
- Tomohiro Okazaki / 岡崎智弘
- Director
- Publishing director by Osamu Kushida / 櫛田 理
- Year
- May 1 2024 / 2024年5月1日
- Size
- h75mm × w317 × d26mm
- Weight
- 380g
- Pages
- 394 pages
- Binding
- Softcover / ソフトカバー
- Materials
- Body paper: ok adonisrough w 42kg, Cover paper: prima 190kg, Sleeve paper: dreep f 96kg
- Edition
- limited edition of 1000 copies.
- Condition
- As New / 新品
- ISBN
- 9784909479044
All rights reserved. No part of this publication may be produced, stored in retrieval system or transmitted in any form or by any means, electric, mechanical, photocopying, recording, or otherwise, without prior permission by the publisher. All Photographs ©︎ Tomohiro Okazaki Book ©︎ 2024 FRAGILE BOOKS
何ということはないのに
心が静かになるのは
どうしてだろう。
どんな本にも伝えたいことがあり、見せたいイメージがある。最古の世界共通メディアとして数百年にわたり情報を伝達してきた本は、どの一冊にも固有の「言い分」というものがある。これまでもこれからも、暗黙の了解として、本はちょっと五月蝿いものなのです。
印刷して綴じられた紙の束。ここになにか別の効能や可能性はないのだろうか。少しのあいだ何も言わないでいてくれる本、何も起こらないのに心地よい本、というような。
こうして生まれたのが「a paper」です。
この奇妙な出版企画に、岡崎智弘さんはすぐに賛同してくれた。日々、マッチ棒で「動きの事柄」をデザインしてきた岡崎さんはもともと昆虫少年だったからか、自然をじぃっと観察するときのように、紙の本という物性と戯れてくれました。
完成したのは、横に長い400ページの本。岡崎さんのしかけは「一枚の紙」。コマ撮りの手法で、印刷された紙上の「紙の折り目」が400ページかけて行ったり来たり移動する。それだけといえば、ただそれだけ。起承転結はない。感情をふさぶる山場もない。そもそも「ことば」がない。400ページも費やして、何も起こらない。でもその無駄のようにみえる紙束をなんでもめくっているうちに、いつの間にか心が洗われて、静かになっていく。
なんというか、風にゆれるカーテンを見つめているときのような、波打ち際を呆然と眺めているときのような、自然界の魔法がかった数秒間がある。それが指先にあらわれては消える。パラパラと指先でページをめくる束の間、どういうわけか心が癒やされていくのを感じる。
そんなわけで、FRAGILE BOOKS が発行する第5弾として、ぜひ手にとってご覧いただきたい一冊ができました。
Profile
岡崎智弘 / Tomohiro Okazaki
グラフィックデザイナー
2011年9月よりデザインスタジオSWIMMINGを設立。グラフィックデザインの姿勢を基軸に、印刷物/映像/展覧会など視覚伝達を中心とした領域を柔軟に繋ぎながら、仕事の規模を問わず、文化と経済の両輪でデザインの活動に取り組んでいる。デザインの仕事は、自分が知らない世界や事象と向き合う機会となることや、人や社会と繋がる行為となること、また世界の捉え方や構造を発見し関与することができるものであり、その可能性に大きな魅力を感じている。
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