Detour / Jan Voss
Bibliographic Details
- Title
- Detour
- Artist
- Jan Voss / ヤン・フォス
- Publisher
- Walther Konig
- Year
- 1989
- Size
- h233 × w170 × d40mm
- Weight
- 1300g
ヤンフォスがつくった最初の本
一本の線は地球を駆け抜け
一個の点は宇宙に繋がる
「迂回路」と名付けられた一冊。アムステルダムを拠点に活動する、ドイツ人画家ヤン・フォス(Jan Voss)がはじめてつくったドローイングブック。走り書きのようなもつれた線の中に、絵文字風のイメージが浮かび上がる作風で知られ、抽象でも具象でもない、独自の表現を追求している。
一見、何の変哲もない白い本かと思いきや、とんでもない。写真の1枚1枚を舐めるように見て欲しい。なんと1本の線が表紙から小口を渡り、裏表紙まで繋がっているではないか。驚くなかれ、この本は、ヤンフォスが70mの紙に絵を描いて、それを順番に折りたたんだままを印刷した代物なのである。
70mあった紙は360ページの本へと姿を変え、70mのながいながい物語は、綴じ込めるとたった4cmのショートストーリーに。ある1冊の本に出会って以降、自分で絵を描く時、本をつくるときに「シークエンス(sequence)」を意識するようになったというヤンフォス。ひとつの「・」、一瞬という時間の中に宇宙が在るのだという。
ヤン・フォスが影響を受けたのは、ドイツ人アーティスト、クリスティヤン・グズムンドソン(Gudmundsson Kristján)『Once Around the Sun』(1975)。2冊セットのこの本は、どちらも分厚く、1 巻には各ページに目を疑うほど多くの「・」だけが印刷されていて、これらの点は、地球が太陽の周りを一周するのにかかる時間の 1 秒を表しているそう。第 2 巻には、これまた何度も瞬きしたくなるほど多くの平行線だけが印刷されていて、すべての線を合わせた長さは、地球が太陽を一周する実際の距離を表しているのだとか。
自ら、ブックアーティストをサポートしたいと、仲間と共に1986年からアムステルダムにBOEKIWOEKIEという書店を構えるヤン・フォス。あらゆるアーティストから刺激を受けながら、自らも多くのアーティストに影響を与えながら、今日も最前線を進み続ける。