文楽人形の左手と右手

Bibliographic Details

Title
文楽人形の左手と右手
Artist
Anonymous / 作者不明
Year
Unknown / 不明
Size
right hand / 右手:h222 ×w32 ×d26mm, Left hand / 左手: h340 ×w32 ×d26mm, Stick / 棒: 335mm
Weight
130g
Materials
Wood, fabric, starch / 木、布、胡粉
Condition
Some of the paper may be bent. /全体的に胡粉が剥げた状態です 動かすカラクリが破損しています

Left and right hands, sold in pairs. / 一対での販売です。

ミリ単位の
指の感覚で操作する
文楽の左手と右手。

文楽人形のからだの一部をいくつか持っています。なぜ文楽人形なのか、その理由がすぐに思い浮かばず、しばらく放っておこうかとも思ったのですが、だんだん攪拌していたものが沈殿するように、ゆっくりと思い出してきました。

古物を買うようになって割合い最初の頃、文楽人形の資料館から出てきたという人形数体がバラされた状態で、売られていました。とてもぼくが買えるような額ではなかったので、長考の末、諦めることにしました。こういうときに借金でもして手に入れるのが“ホンモノ”の古物商なのかも知れませんが。

そのときの文楽人形への憧れというか、焦げついた頑固汚れのような感覚が尾を引いて、その消化しきれない後悔をどうにかしようと躍起になっていったのかもしれません。 一度は「文楽人形や浄瑠璃人形は、操り、演じる、見せる、表現する人形だから云々」と表面的な理由を書こうかとも思ったのですが、沈殿して残っていたものはネガティブな執着心であると改めて認識したのでした。



Text by 都築 重則