松竹座ニュース 1926~1931

Bibliographic Details

Title
松竹座ニュース(メトロポリス、京都6部、浅草3部、道頓堀11部※綴じ穴有)
Publisher
松竹座(道頓堀、京都、浅草)
Year
1926(大正15年)~1931(昭和6年)
Size
h226 × w155 × d10 mm
Weight
200g
Pages
メトロポリス1部、京都6部、浅草3部、道頓堀11部
Language
日本語
Binding
パンフレット
Printing
表紙・裏表紙2色刷イラスト(裏表紙一部写真使い)
Materials
Condition
Good

上映中の映画と近日上映予定の映画のスタッフ、筋書、出演者など中心にまとめたプログラムで館ごとに週刊発行。「解説担当(弁士)」記載有。 松竹座は封切館で名作映画情報多数掲載。「メトロポリス」は2Pカラー印刷。 毎号裏表紙はクラブ化粧品(現・クラブコスメチックス)の広告。また表紙と裏表紙のデザインはプラトン社が担当(プラトン社はクラブ化粧品設立の出版社で山名文夫、山六郎などを輩出)。表現主義、構成主義、ダダなど前衛芸術の影響色濃い表紙のデザインが特徴。 道頓堀11部(綴じ穴有)、京都6部、浅草3部。

彗星のように消えた
プラトン社の
映画パンフレット
«松竹座ニュース»


デザイン性の高さが目を引くパンフレット、最近はめっきり減りましたね。しかし、大阪が大大阪と呼ばれていた華やかな時代には、既にあったのです。タイポグラフィもグラフィックデザインも優れた、なんとしても手に入れたいと思わせるパンフレットがあったのです。

戦前の映画館では、館ごとに上映中の映画と翌週かかる映画の情報を提供する「週報」を発行していました。なかでも表紙のデザインで目をひくのが「松竹座」の週報です。表紙のデザインを手がけたプラトン社は、大阪の化粧品会社「中山太陽堂」(現クラブコスメチックス)が設立した伝説のモダニズム出版社。1922年に創業し1928年に廃業するまでのたった6年間のあいだに、フランスの高級モード誌『ガゼット・デュ・ボン・トン』のファッションプレートを参考にした文芸雑誌『女性』や高級家庭娯楽誌『苦楽』を創刊し、挿絵や装幀に手腕を発揮した山六郎や、のちに資生堂で勇名をはせる山名文夫などを輩出しました。もちろん、裏表紙のクラブ化粧品の広告も優れたデザイン揃い。

特に「メトロポリス」のパンフレットは、フリッツ・ラング監督によるドイツ無声映画の傑作であるせいか、前衛芸術の影響を受けた斬新な表紙デザインの相乗効果か、海外にも熱心なコレクターが存在するほどです。「メトロポリス」のパンフレットはヴァリエーションも多く、デザイン的にも力作揃いで、一時は集めてみようかと思い6~7種程度集めたこともありますが、その後も異種を目にするなど実際に何種類存在するのかは、いまもって分かっていません。ご存知の方いらっしゃいましたら、是非ご教示いただきたいと思います。

佐藤真砂のエフェメラエピソード:

近年時々ヤフオクで話題となる「メトロポリス」のパンフレットを初めて手にしたのは2001年のことで、2002年1月の百貨店即売会のオークション企画に出品しました。

当時、日月堂にとっては驚異の価格35,000円也で落札され、その時の落札価格を以後長らく「メトロポリス」の売値としていました。落札した「メトロポリス」を引き取りに百貨店に現れたのがまだ年若い男性二人で、興奮気味だったことも印象深く覚えています。

紙一枚に数万円! それでも探している人が居る!
-紙モノのもつ可能性を教えてくれたのが松竹座ニュースでした。

Text by 佐藤真砂

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