フラジャイル博覧会

福耳市

二〇二五年、年の初めの博覧会として「福耳市」を開催します。ことし一年、みなさんのもとに小さな福がやってきますようにと願いをこめて、耳付きのヴィンテージ本をあつめました。本の世界で「福耳」とは、製本するときに紙が内に折られたまま断裁してしまう失敗作のことです。ひと昔前とくらべて製本機のレベルも検品精度も格段に向上した今となっては、「福耳」はほとんど見つからないレアな乱丁になりました。それにそもそも世に出回ってはいけない不良品なので、奇跡的に製本所のチェックをくぐりぬけ、本屋に辿りついたとしても、返品すべき存在のまま、何十年ものあいだ耳があることを隠し通すこと自体、奇跡としか言いようがありません。ここに選んだ12冊は、20年から100年前に刊行された耳付きヴィンテージ本です。招福飾りとして、縁起物として、お家に一冊いかがですか。

[会期]2025.1.1 - 2025.1.31